それから、プテリギオンの目撃報告も、謎のミイラ犯人も見つからずに数日が過ぎた。プテリギオンの卵らしい漂着物については、みだりにパニックを起こしかねないということで、いまだ情報は公開されていなかった。
 はじめのうちは世界中から駆けつけたマスコミの取材で賑わっていたミサキ町も、次第にその数が減り、今では元の静けさに戻っていた。

「まあ、海の底の怪獣よりも、地上の有名人のゴシップ追っかけた方が簡単だし、刺激的って事でしょうね」
 その日の放課後。パン屋の前でイチゴシロップのカキ氷をシャリシャリと頬張り、ナミが呟いた。
「じゃ、じゃあもうこないんでしょうか……その、アレ」
 おずおずと尋ねるハルミに、ナミは首を横に振って見せた。
「それは分からないわ。ミイラ事件も不明な部分が多いし、なぜここの近くに来たのか……単なる気まぐれか、それとも理由があったことなのか……」
「会いたいですか、アレに?」
「うーん」
 スプーンでカップをかき混ぜ、程よく氷にシロップを染みこませつつ、ナミは考えた。
「会いたいといえば会いたいけど……。このまま人目に付かない場所に逃げてくれれば、それでいいや」
「そ、そうなんですか……」
「うん、だって姿を見せたら……」
「ウェイトさせちゃったー、ごめんソーリー!」
 手をふるふる、そして胸をユサユサさせて、レイクがやってきた。
「あぁいった連中に攻撃されるからね」
「なるほどぉ……」
「あれ、何食べてるの? ストロベリーテイスト? じゃあ私はブルーハワイね!」
 と、言いながらレイクは店に入っていった。
「あ、そうだ……」
 と、一旦店に引っ込んだレイクが顔を出す。
「なに、どうしたの?」
「明日、転校生がカミングだって、カネミツが言ってた」
「転校生? こんな時期に? こんな場所に?」
「ホント、意外ですよね。夏休み前だというのに」
「あれじゃないの、私みたいに、ミリタリー関係?」
 と、高台に作られた国連軍基地を指差した。
「なるほどぉ、そうかぁあ」
 それを聞いて、ナミは少し浮かない顔になった。
「いずれにせよ、お友達が増えるのはいいことですよねっ」
「うーん、フレンドになれればいいけどね」
 珍しく、レイクが不安げな表情を見せた。
「何か心配事でもあるの。珍しいわね、あんたにしては」
「特に心配はナッシングなんだけど」

その翌日。
 レイクの言ったとおり、転校生がやってきた。
 黒っぽいブレザー風、というより軍服のように見えたのは、頭に被った略帽のせいだろう。
 転校生が姿を見せた瞬間、教室が『おぉお』と、男子を中心に大きくどよめいた。

前髪をまっすぐに揃えた黒髪に、靴も、ニーソックスも黒。
 転校生は教卓の前でペコリ、と一礼すると、黒板に達筆なカタカナで名前を書き出した。思わず、教室から男子を中心に『おぉ』と声が上がる。
「カーラ・シュミットです。これからよろしくお願いします」
 そして流暢な日本語で自己紹介し、再び頭を下げると、再び『おぉ』という声が男子を中心に沸き立った。
 それを見ていたカーラが冷たい微笑を浮かべたのを、レイクは見逃さなかった。

----つづく----

本当に大怪獣「プテリギオン」は復活したのか?謎の変死体との関わりは?
 数々の謎をはらみつつも、ちゃくちゃくと美少女キャラが追加される。
 「バカと戦車で守ってみる!」

第2話 「海を見つめる少女、もう一人。そして戦車(前編)」

ナミ:もう、私の戦車は何時になったら出てくるのよっ!

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